肝炎対策について
与党は、B型、C型肝炎患者に対する総合対策について、肝がんへの進行防止や肝炎治療の効果的な推進を図るため、公費助成によるインターフェロン治療者を倍増させ、今後、7年間ですべての肝炎患者が治療を受けられるようにすることを目指す「肝炎治療7カ年計画」をとりまとめました。
肝炎問題を巡るこれまでの経過と現状とあわせて、そのポイントを記載いたします。
肝炎対策のポイント
- 来年度から所得に応じた医療費助成を行い、年間5万人にとどまっている抗ウイルス薬インターフェロンによる治療者数を10万人に倍増させる。
- これにより、患者の窓口負担は、年間所得約458万円以下の患者(全体の約50%)は、自己負担の上限を月1万円、720万円以上(同約20%)は5万円、その中間の患者(同約30%)は3万円とし、上限を上回る治療費については、国・都道府県が折半で負担する。年間約256億円の予算が見込まれており、来年4月から実施される予定。
- 保健所で行われている肝炎の無料検査を医療機関でも受けられるようにする体制を整備する。
- 症状が出ていない感染者への治療方法の研究開発を促進する。
| 自己負担月額 | ||
|---|---|---|
| 所 得 区 分 |
上位所得層(全体の約20%) (年間所得約720万円以上) |
5万円 |
| 中間所得層(全体の約30%) (年間所得約720万円以下) |
3万円 | |
| 下位所得層(全体の約50%) (年間所得約458万円以下) |
1万円 | |
| 年間総事業費 | 約256億円 | |
| 7年間の総事業費 | 約1,792億円 | |
- 1.趣旨
- 国内最大の感染症である肝炎について、肝がんへの進行予防、肝炎治療の効果的推進のため、経済的負担軽減等により、インターフェロン治療を必要とするB型・C型肝炎患者すべてが治療を受けられるよう総合的な対策を展開。また、あわせて肝がん予防の効果も期待。
- 2.すべての希望者がインターフェロン治療を受けるための支援の創設
- インターフェロン治療を受ける人(現在約5万人)の倍増を目指し、今後おおむね7年間で、インターフェロン治療を必要とする肝炎患者すべてが治療を受けられる機会を確保。そのため、治療の経済的負担の軽減策を創設。
- 3.検査から治療まで継ぎ目のない仕組みの構築
-
- (1)肝炎ウイルス検査の促進(20歳以上の国民すべてが検査受診)
- 今後基本的にすべての自治体・保険者・事業主において肝炎検査を実施。20歳代以上の国民すべての検査受診の機会を確保。保健所での無料検診や医療機関委託を推進。
- (2)感染したが症状のないときの健康管理の推進と安全・安心の肝炎治療の推進
- 日々の健康管理、定期的な受診の勧奨など感染者の日常的な健康管理を支援。検診実施医療機関と専門医療機関の連携の促進。
全都道府県での肝疾患診療連携拠点病院を設置。相談・研修の実施促進。
国における、先進的な肝炎治療の推進、肝硬変・肝がんへの進行予防や治療に関するガイドラインの作成・改訂。 - (3)インターフェロン治療の促進のための環境整備
- インターフェロン治療を受ける人を倍増させるため、経済的負担軽減とともに、諸施策を実施することにより環境を整備。
- どこでも安心して治療が受けられるよう病院・診療所に対する適切な情報提供・研修促進。
- インターフェロン治療の経済的負担の軽減。
- 治療期間中の入院・検査等に伴う休暇の取得促進。
- 保健所・肝疾患診療連携拠点病院での心のケア、相談体制の充実。
- (4)肝硬変・肝がん患者への対応
- 心身両面のケア、医師の研修による治療水準の向上の取り組み。
- 4.国民に対する正しい知識の普及と理解
- 教育、職場、地域あらゆる方面に対する働きかけの推進。
- 5.研究の促進
- 無症候性キャリアを含む肝疾患の新たな治療方法の研究開発、速やかな薬事承認、保険適用。
肝炎問題をめぐる動き
- <感染者数>
- 国内のB型、C型肝炎の感染者は、B型が約110〜140万人、C型が約200〜240万人おり、発症した患者はB型約10万人、C型約50万人とされている。
しかし、現在、肝炎に有効とされるインターフェロン治療には月7〜8万円の自己負担が必要で、治療期間は1年前後に及ぶ。このため、経済的事情などから、インターフェロン治療を受けているのは約5万人にとどまっている。 - <原因と経過>
- B型、C型肝炎は、予防接種での注射器の使いまわしや輸血などで感染が拡大した。
また、C型肝炎の感染原因の一つには、出産や手術時の止血剤として多用された血液製剤「フェブリノゲン」などがある。 - 昭和39年に製造承認された「フェブリノゲン」は、昭和40年〜昭和60年8月に、ウイルスの不活化のため、紫外線照射とBPL処理を実施していた。
しかし、昭和60年8月、BLPについて発がん性が問題になり、その製造が中止され、旧ミドリ十字は「抗HBsグロブリン処理」に変更した。(処理方法について、旧ミドリ十字から国への報告はなし)
この方法では、C型肝炎ウイルスの不活化が十分ではなく、結果として肝炎が発生した。
昭和62年1月〜3月、青森県で肝炎の集団感染が発生したことを背景に、国は、旧ミドリ十字からの申請を受けて、昭和62年4月30日に加熱方式での製剤を承認した。
ただし、加熱製剤についても肝炎発生が懸念されたことから、承認後、同製剤を使用した患者に対する追跡調査を実施した。
昭和63年6月、この調査において、加熱製剤による肝炎肝炎事例が報告されたことから、フェブリノゲンの使用量は大きく減少した。
C型肝炎ウイルスは昭和63年に発見され、供血者へのC型肝炎抗体検査が導入されたのは、平成2年からである。
これまで、フェブリノゲンを投与された患者は約28万人おり、C型肝炎ウイルス感染者は約1万人と推計される。うち、製薬会社の症例報告に記載されていたのは、418人である。 - <訴訟>
- 平成18年6月、最高裁は予防接種でB型肝炎感染の防止策を怠ったとして、国の賠償責任を認めた。
- また、フェブリノゲン製剤等によりC型肝炎にウイルスに感染したとして、平成14年〜15年にかけて大阪、東京、福岡、名古屋、仙台の5地裁へ提訴された薬害肝炎訴訟(原告は全国で計171人)では、汚染された血液製剤を製造・販売した製薬会社と、製剤の副作用が明らかになった時点で規制を行わなかった国(厚生労働省)の責任の有無が争われ、仙台を除く4地裁が国の責任を認め、賠償を命じている。
近畿、中国、四国地方の患者13人が、国と製薬会社「田辺三菱製薬」(旧ミドリ十字)など2社を相手に損害賠償を求めた大阪訴訟控訴審では、11月7日に大阪高裁が和解勧告。続いて、同12日にも、福岡訴訟控訴審で和解勧告が出された。
以上
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